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まちぐるみで育児をサポート! 拡がる「産後ケアセンター」支援 【29年11月08日開催セミナー記事】

“産後ケアセンター”という施設をみなさんはご存知ですか? 先日2017年11月8日、国内に産後ケア施設を広めるために力を注ぐ<一般社団法人 出産・子育て包括支援推進機構>によって産後ケアセミナーが開催されました。そこでは「産後ケア施設とはどういったもので、なぜ今、必要なのか」が事例や効果を交えて語られ、新しい日本の子育ての形が提案されました。

 

産後に女性が不安定になるのは当たり前のこと

通常、産後5日程度で退院し自宅での子育てが開始されますが、お産で身体が疲弊しているうえに慣れない新生児の世話に追われ、そのうち精神まで疲弊していってしまう……いわゆる“産後うつ”状態のママさんが急増しています。近年、そういった事態を重くとらえた自治体が、子育て支援の取り組みの一環として“産後ケアセンター”の利用支援をはじめました。子どもだけではなくママの身体・精神も包括的にケアしてくれるというこの施設。具体的にどんなところなのでしょうか。

「出産後ホルモンの劇的な低下および疲労や不安によって、女性の身体は身体的にも、精神的にも不安定になるのです」と教えてくれたのは東邦大学看護学部教授 福島富士子氏。産後の母親がもっとも不安になる時期は退院直後から3カ月頃までで、この時期の支援が大変重要だと言います。

「母親だけではなく赤ちゃんにとっても愛着を形成する上で最も大事な時期です。しかし、今までの支援制度は子どものためのものがほとんどで、ママのためのものはありませんでした。産後ケアの時期的目安は分娩直後から1年です。産後うつになってしまわないよう病院のサポートに加え、ママの自立、すなわち社会復帰への支援のために自治体がサポートをしていくことが重要です。そこで行政は、宿泊型産前産後ケアセンターというものを用意しました。これによって子育てへの自信がつき、赤ちゃんへの愛着形成にも効果が期待されます」

 

産後ケアセンターってどんなところ?

「“産後ケアセンター”とは、単に美容としてのケアやマッサージのみを行うだけではなく、産後の女性を包括的に支援する場所とされています。内閣府の【まち・ひと・仕事創生総合戦略(2014年〜)】で妊娠期から子育て貴にわたるまでの切れ目ない支援の実施を、具体的な目標数字をもって活動していっています。

さて、産後ケアセンターと呼ばれる施設は、主に3つのパターンに分類されます。

・宿泊型(原則7日以内の利用)… 4,000円〜10,000円/1泊
・アウトリーチ型(訪問型)… 500円〜2,000円/1回
・デイサービス型 … 1,000円〜4,000円/1日

第1号は平成19年にできた世田谷区の産後ケアセンターです。すでに稼働率は95%と大人気で、世田谷区民であれば費用の9割を区が負担してくれるので、自己負担は1泊2日で6,000円、1週間で21,000円と大変リーズナブルな価格です。こういった施設を利用することのメリットに『休養』『受容される体験』『授乳がうまくいく』という声があげられ、さらに人と人との交流の場になり、十分な支援ができているという結果になっています。現在、世田谷区のほか浦安市、和光市、江東区、山梨県などでも市区町村の動きにより、同様の施設が立ち上がってきています。もっとママさんはこういうセンターを活用していってもらいたいですし、全国でさらに増えていってもらいたいと思っています」

 

浦安市の産後ケアセンターは満足度の高さが自慢

続いて、順天堂大学医学部附属浦安病院院長の吉田 幸洋氏は浦安市の支援体制の充実度についてこのように語ってくれました。

「千葉県内には現在19市に宿泊型産後ケア施設が設けられ、浦安市には宿泊型、日帰り型とあわせて5つの施設があります。そのうち宿泊型は東京ベイ・浦安市川医療センター、順天堂大学医学部附属浦安病院の2箇所。順天堂大学医学部附属浦安病院の利用料金は、浦安市民であれば1泊2日で6,000円(一般は70,000円)という安さで設定されています。さらに、支払いには市で発行されている子育て支援チケットも利用可能です。

平成28年3月から100組弱の利用者があり、満足度は<非常に満足>が85%、<満足>が15%という脅威の数字をいただいています。当院が地域周産期母子医療センターであることから、NICU、GCUを退院した母子もそのまま産後ケアを利用することで時間をかけて育児習得ができ、育児不安の軽減につながっています。また、産後ケアセンターのスタッフである助産師も専門職としての知識・技術を発揮できるためやりがいを感じています。今後も浦安市と連携をはかり、切れ目のない支援をしていきます」

 

日本の少子化対策 “3本の矢” とは?

自称<元祖イクメン>の内閣官房参与/慶應義塾大学名誉教授 吉村 泰典氏から、日本全体の取り組みについて興味深い情報が聞けました。

「今後、日本は諸外国に比べ、圧倒的に高齢化率が高くなります。2015年にはすでに75歳以上が子どもの人数を上回りました。2030年には平均年齢が50歳を超え、さらに2050年に65歳以上は全人口の40%にもなる予測です。そのような国の対策としては、①地方雇用の確保 に加え、②出生率の上昇 に取り組まねばなりません。少子化の原因は多々ありますが、少子化危機突破のための緊急対策としての“3本の矢”(1.子育て支援の強化 2.働き方改革の強化 3.結婚・妊娠・出産支援)です。

今までの出生率を上げる打ち手として、出産一時金38万円を42万円に、妊婦健診補助を5回から14回などの対応をしていき、合計特殊出生率が戦後最小の1.26から1.44へと回復していきました。出生率上昇のためには、さらなる待機児童対策などの保育への予算配分も必要となります。現在、産後4カ月までの初産婦さんのうつ病の可能性が高いというところへむけた産後ケア対応として、産後2週間健診、1カ月健診の助成がなされていますが、今後は産前・産後、子育ての切れ目ない支援が大切となります」

このように、現在、市区町村だけではなく国を挙げて「子育て支援」に取り組んでいるのです。その一環として全国区で目下拡大しているママのための施設“産後ケアセンター”。各自治体の支援制度をうまく活用して、上手に子育てをしていきましょう。

 

2017年11月8日「産後ケアセミナー」より
主催:一般社団法人 出産・子育て包括支援推進機構

 

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(提携先ベビーカレンダーHP引用)

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